制限が明けて、まず確認のつもりで手元のHTMLファイルを開いた。「用語集を読み込めませんでした」。表示されたのは、その一行だった。
前回は「&」、今回は「<」。次は何が壊れたのか。シートの共有設定か、URLか。三度目の犯人捜しが始まった。ところが、調べてみるとシートは無事だった。外から同じURLを叩けば、53語がきちんと返ってくる。公開ページを開けば、ツールも普通に動いている。
犯人は、いなかった。ファイルをダブルクリックで直接開くと、ブラウザの安全機能が、外部からデータを取ってくる動きを止めてしまう。壊れたのではなく、開き方の問題だった。事件だと思ったら、無実だった。動作確認は公開ページでやる。教訓をひとつ持ち帰って、本題に進んだ。
本題は、スマホの画面の中にあった。53枚のカードが、縦一列にずらりと並ぶ。27インチの画面でもスクロールが億劫だったのだから、スマホではなおさらだった。「まずこれだけ」に絞っても、まだ長い。一枚一枚を作り込んだカードが、並べると壁になっていた。
もうひとつ、気になっていたことがあった。用語の説明は「一言でいうと」と「もう少しちゃんと」の2段構えで書いてある。ところがカードには1段目が最初から表示されていて、2段目は小さな文字を押した人にしか届かない。53語ぶん書き込んだ2段目が、たぶん、ほとんど読まれない。
答えは、隠すことにした。最初に見えるのは、用語名と読みと優先度のラベルだけ。叩くと開いて、1段目から2段目まで、まとめて出てくる。答えがずらずら並んでいるのを読まされるより、言葉を叩きながら情報を得ていく方が、読書というより遊びに近くなる。それに、開くという一手間をすでに払った人から、2段目を隠す理由はもうない。
検索には、小さな気遣いをひとつ足した。ヒットが3件以下のときは、叩かなくても自動で開く。「はるし」と打った人に、もう一度叩かせるのは二度手間だからだ。
53行の目次になった用語集は、スマホの画面にすっと収まった。壁は、扉の並びになった。
(第5話につづく)

