入院中に知った、「自分の身体のこと」

入院して最初に行われたのは、検査だった。

血液検査、超音波検査、眼底検査、MRI……。独立してから7年間、健康診断を一度も受けてこなかった自分の身体が、ここで初めてじっくりと調べられることになった。

結果は、予想をはるかに超えていた。

HbA1cは9.5。血圧は常時190/100。動脈硬化、脂質異常症に加えて、白内障の兆候まで見つかった。糖尿病が引き起こす合併症は、腎臓、目、神経——全身にじわじわと広がっていた。「全部まとめて対処しないといけない身体になってしまっていたんだな」と、妙に冷静に思った。

リハビリ病院に転院すると、同じ病棟の患者のほとんどが高齢者だった。50代半ばの自分が「若者」扱いされる、不思議な環境だ。担当してくれた理学療法士は20代の青年たち。子どもみたいな年齢の彼らに「血圧を測りましょう」「今日はここまでにしましょう」と言われながら、ベッドの上でストレッチを繰り返した。

病棟には、様々な目標を持って通ってくる患者さんがいた。車椅子での移動を目指す人、言葉を取り戻そうとしている人。「今より少しでも良い状態に」——それが、ここではすべての人に共通する目標だった。日常生活を誰かの力を借りずに普通に過ごすということが、当たり前のようでいて、どれほどすごいことかを、このとき初めて実感した。

退院が近づいたある日、自分の中でひとつの方針が固まった。

「飽きてしまうまで、続けてみよう」。

ストイックに完璧を目指すより、変化していく自分を楽しむ気持ちで動く方が長続きする——面倒くさがり屋の自分には、そういうやり方しかない。禁煙、食事改善、ウォーキング。どれも「義務」にせず、ゲームのように攻略する。

未来の自分に、ほんの少しだけワクワクしていた。……楽しみを見出さなきゃやってられない、というのもあるけれど(笑)。

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