退院してすぐ、まず買ったのはスマートウォッチだった。
歩数だけでなく血圧も血糖値も測れるらしい。「これは便利だ」と思って購入し、病院の実測値と比べてみた結論は——「歩数以外は当てにならない」。まあ、そういうものだ(笑)。
気を取り直して、本物を買い揃えることにした。手首式の血圧計と、CGM(持続血糖測定器)の「リブレ」だ。リブレは腕に小さなセンサーを貼るだけで、スマートフォンをかざすたびにリアルタイムで血糖値を確認できる。2週間使い捨て。

記念すべき血圧計の初計測は「180/95」。まだ超高血圧の域だ。リブレの初計測は「120」。食前としては悪くない——と思っていたら、ヘルシーなつもりで食べた昼食の30分後に「170」まで跳ね上がった。

「えっ、納豆と冷奴と麦ごはんで170?」。この一撃が、食事改善の本格的な試行錯誤の始まりだった。
調べれば調べるほど、知らなかったことが出てくる。飲み物ひとつとっても、微糖の缶コーヒー、スポーツドリンク、野菜ジュース——どれも血糖値を上げる。一方で、水、炭酸水、緑茶、麦茶は問題ない。さらには「暁現象」という言葉を知った。明け方にホルモンの働きで血糖値が上がりやすくなる現象で、寝起きの空腹時血糖が高くなる原因のひとつだ。「何も食べていないのになぜ高いんだ」という謎が、これで解けた。

食後は近所の公園を2〜3000歩、ゆっくり歩く。リブレで食後の血糖値がじわじわと下がっていく様子を確認するのが、妙に楽しかった。数値が動く——身体が反応しているという実感。それがこの時期の、一番のモチベーションだった。
健康管理アプリ「カロママプラス」も使い始めた。食事を写真で撮るとカロリーや糖質を解析してくれて、歩数や血圧とあわせて毎日「健康スコア」を出してくれる。
「ゲーム感覚でゆっくり進める」——これが、面倒くさがり屋の自分に一番しっくりくるやり方だった。

