「145/90」という数字が、ご褒美だった。

いくつか試すうちに、自分なりの朝食メニューが決まった。

レタスと茹でブロッコリーのサラダをメインに、ブルーベリーと刻んだバナナを入れた無糖ヨーグルト、ゆで卵、冷やした焼き芋。そしてトマトジュース。前の晩に作っておいて冷蔵庫に入れておけば、朝はコーヒーメーカーのスイッチを入れながら取り出すだけ。

かつての朝食といえば食パンか、菓子パンか、食べないかのどれかだった。変われば変わるものだ。

朝食の後は近所の公園へ。朝日を浴びながらゆっくり歩く。早起きして公園で歩く人たちを、かつての自分は「自分には関係のない世界だ」と思っていた。今はその中の一人になっている。人生、どこでどうなるかわからない。

自分の身体に「正解」な食材を探す試行錯誤も続けていた。オリーブオイル、リンゴ酢、シナモン、ゴマ、まいたけ、キクラゲ、サバ缶、高カカオチョコレート……。発症前には無縁だったものばかりだ(笑)。一方で、お米は玄米や麦ご飯に変えても血糖値が上がった。「日本人はコメを食え」という考えは、早々に諦めることになった。

数日後、血圧を測ったら「145/90」と表示された。

退院以来、一度も見たことのない数字だった。何度測っても同じ。一般的にはまだ高血圧の範囲内だが、そのとき感じたのは純粋な嬉しさだった。禁煙、禁酒、食事改善、ウォーキング——意識して変えてきたことへの、小さなご褒美。

その後の最初の通院、HbA1cは9.5から8.7へ。内科の先生は入院当初の数値と見比べて、目を丸くして驚いていた。「来月も問題なければ、かかりつけ医を紹介しましょう」。

結果が「数字」で見えるものは、本当にモチベーションになる。HbA1cが8.7になったと言われると「攻略できている」という感覚がある。面倒くさがり屋には、こういう仕掛けが必要なのだ、たぶん。

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