第4話:今回は、犯人がいなかった (実装編)

用語集のときは「&」が犯人だった。WordPressの入力ブロックが、プログラムの中の「&」を勝手に変換して壊す。あの逮捕劇を経験していたので、今回は最初から犯行現場そのものをなくすことにした。

WordPressを経由しない。HTML1枚のファイルを、サーバーに直接置く。URLを開けば、そのまま動く。これだけだ。今回のプログラムには「&」を含む記号が大量に入っていたから、もしブロック貼り付け方式にしていたら、確実に再犯されていた。ファイル直置きなら、WordPressはコードに指一本触れられない。

実装はFable 5が一気に書き上げた。1画面1問の質問エンジン、逃げ道の処理、例文を疑う仕掛け、回答から取扱説明書を組み立てる文章化。書き上がったそばから、プログラムの文法チェックと、回答を流し込んだ出力テストまでその場で回してくれる。私の役目は、Macで動かし、スマホサイズの表示を確かめ、実機のiPhoneで通しで触ることだった。

拍子抜けするほど、何も起きなかった。表示崩れなし、動作不良なし。「動かない」の一夜を過ごした診断のときとは別物である。犯人のいない回だった。だからこの制作記の山場は、機械ではなく人間の側にある。審判を下した姉と、自分の質問を飛ばした私に。

おまけをひとつ、仕込んだ。「取説カード」である。

完成した取扱説明書は、コピーしてAIに貼るテキストだ。実用品ではあるが、見た目は地味だ。そこで、回答から「家電の説明書風」のカード画像がその場で生成されて、保存できるようにした。品名、型式、⚠️取扱注意、警告、上手な使い方。型式は回答から自動で決まる。ものごとの決め手が「面白いかどうか」でAIには参謀でいてほしい人は「OMOSHIRO-C型」。コスパ重視で正確な助手が欲しい人は「COSPA-A型」。

AIに渡す実用はテキストが担い、人に見せたくなる部分はカードが担う。画像の生成はcanvasというブラウザの標準機能なので、これもゼロ円。SNSに貼るのも、冷蔵庫に貼るのも自由だ。

最後に、リンクを貼ったときの「顔」も作った。noteやXにURLを貼ると出てくるあの画像に、看板コピーを一行だけ載せた。

「AIは、あなたのことを何も知らない。」

すべての工程が終わって、ファイルをサーバーに上げた。構想から5日、実働はほぼ1日。あとは、自分で試すだけである。

(第5話につづく)

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